トラベル集会Vol.8 in沖縄 OFFICIAL REPORT

2024年5月24日(金) 雨

スペシャルライブ in桜坂セントラル

 次にムラさんが差した男性が挙げたのは「Hello in Xmas」。「あ、オマエはダメなヤツだった。前もそうだったのよ」と嘆く椎名。「ここ沖縄だぜ」と友森さんが言えば、「こんなシャツ着てるのに?」とムラさんも呆れ顔。でも、始まってしまうと、この曲本当にロマンチックで素敵なんです。「Merry Xmasいやまだ早いけど」の「早い」を、めちゃくちゃ強調して歌う椎名恨みがましさに笑っちゃいました。でも、歌い終えた椎名は、「曲の力ってすごいですよね。雪降ってましたもん」としみじみ。「25年やってきて、言葉の重みを伝えるという意味で、少しはマシになったんじゃないかと思います。今の曲もギャグっぽく始めたけど、最終的にせつない気持ちになってもらえたんじゃないかなと思います」と続けました。まさに。

 気づけばこの段階で、開演から1時間45分という思った以上の時間がすぎていました。ということで、椎名が「トイレ休憩」を提案。友森さんとムラさんも一服することになりました。その間も椎名は、ステージ上でルーパー遊びをして、DJ感覚で楽しませてくれます。みなさんが席に戻ってくるまで、意外と時間を要したので、友森さんとムラさんが戻ってきてからは、「すべらない話」的な椎名の多岐に渡るトピックも続きました。それもまた楽しい特別な時間でした。

 開演からちょうど2時間経った頃、勢いよく後半戦に突入。その最初は「愛のファイア!」、そして、「フラストレーションNo.5」でした。ムラさんは「よく考えて。沖縄で本当に<フララトレーションNo.5>聴きたいですか?」と、リクエスト者に問いかけて、最後まで抵抗モード。椎名も「どっちも当たってない。やり損だよー」と再び嘆きます。そこに友森さんが飄々と、「これ、トッピングあり?」と聞いてきます。「ああ、ルーパーですね」と、即座にルーパーを用意して、ヌルッとアカペラで「フラストレーションNo.5」を歌い出した椎名。このまま本編に行くのか行かないのか、そこを読み合って、ひとつの形に持っていってしまう3人の阿吽の呼吸にまた驚かされました。

 続いて「愛のファイア!」。「孝!」と、「愛のファイア!」好きのお馴染みのパーカッショニスト・町田孝の名前を椎名さんが叫ぶと、ムラさんがおもむろにキーボードでドラムサウンドを叩き始めて、これもまた何の打ち合わせもなくヌルッと始まりました。途中までピアノ・サウンドでも対応していたムラさんでしたが、二番のサビからバッキングは友森さんだけに任せて、自分は完全にドラマー・モードに。そのおかげでコール&レスポンスもめちゃくちゃ盛り上がりました。「よもぎがいっぱいよもぎがいっぱいよもぎがいっぱいはい!」、「苦いけど美味しいの」、「それより海ぶどう」、「タレかけちゃダメ」と、みなさんよく椎名の無茶振りについていってます。つまり最高の「愛のファイア!」でした。

 ここで、次の旅行会があるとしたら、沖縄以外でどこに行きたいという話に。友森さんは「台湾」を挙げました。「椎名くんは、台湾で人気が出そうだね」という根拠のない言葉にも何となくうなずけてしまいます。ムラさんは、自分の地元である「鹿児島」を推しました。「砂むし温泉の砂を椎名さんがかけるっていうのはどうですか?」とナイスな提案も。椎名は「出雲大社」だそう。会場からの反応があまりい薄いので、「佐野厄除け大師だったらね」とムラさんが言うと、友森さんがギターで除夜の鐘の音を出して話をまとめてくれました。

 さて、ラストスパートに向けて新たなリクエストが募られました。「目を見て。わかってるよね」とリクエスト者に圧をかける椎名。返ってきたのは、「疑似パラドックス」でした。「アハハハハ。選ぶわけないじゃん!」と、椎名はもう壊れかけてます。続いたのが「ただ」、そして、「lo0p」。3人とももう爆笑するしかありません。「地獄だね。でも、楽しくなったね〜、今日も」と、むしろ清々しい表情になっていく椎名。

 演奏の順番は、「疑似パラドックス」、「lo0p」でした。「疑似パラ」はアップ曲だけどあえてルーパーを使わずに。これがむしろ迫力があってすごく新鮮でした。「<lo0p>って曲なのにルーパーがないっていうのもね」という友森さんの意見で、「lo0p」はルーパー入りで。ラストスパートだからか熱量が半端ないです。間奏の部分では、友森さんとムラさんのソロ合戦的な場面まで。「lo0p」は、自分でセットリスト作るとしたら入れにくいナンバーなので、リクエスト・ライブ以外ではほとんど歌ってないという椎名。この曲の作曲者で、引退を表明してしまったギタリスト・石垣愛さんへの思いを聞けたのも貴重でした。

 リクエスト・ライブを締めたのは、みんな大好き「ただ」でした。ここまででもう3時間弱。ゆるいように見えてはいますが、実際は3人とも体力も気力も使い切っているはずです。人を楽しませるって重労働ですよね。好きだからこそできること。それがエンターテインメントの世界だなとあらためて思いました。

 ただ、リクエスト・ライブはこれで終わりではなかったのです。罰ゲームのゴーヤージュースはもう全員決定となりましたが、椎名はさらにここから3人の「答え合わせ」をして、そのハズれ曲の5曲を、ここから15分でやると宣言しました。おそらくこれには、友森さんもムラさんも、目が点だったに違いありません。ラストスパートに追い打ちをかけるさらなるラストスパート。しかも、「SLIT」、「人生スパイス -go for broke-」、「KI?DO?AI?RAKU?」、「予告状」からの「怪盗Y」、「醜態成」と、相当ファットな粒揃いです。

 もちろん、RABBIT-MAN'sのみなさんにとっては、思いっきり大騒ぎできる曲の応酬でした。特に「今日こそ逃さんぞ〜」という二枚爪ヒロシのダミ声が響いた「予告状」では、「キャーッ!」という黄色い声までが上がる始末。いつしかステージの上から、モクモクとスモークまで降りてきました。「警部、警部、こ、こんなものが」、「どうした新入り。こ、これは、15万のシーサー・・・」という、その場にいる人しかわからないナンセンス・ギャグに、ドーッと笑いが起きます。そして、3人のアイ・コンタクトで「怪盗Y」になだれ込むと、大きな大きな手拍子が響き渡りました。続く「醜態成」では、手拍子だけじゃなく、「ウォーウォーオオオオウォーウォー」という雄叫びが、会場を埋め尽くします。演る方も聴く方も、最後の力を振り絞ってのエネルギー交換です。

 「ギター、友森昭一」、「キーボード、ムラ〜」と椎名が叫ぶと、オーラスは約束通り「RABBIT-MAN」でした。1番のAメロをみなさんに「カモン!」と元気に歌わせて、「あいや〜、あいや〜!」と合いの手を入れる椎名。友森さんとムラさんの「♪君の頭上さえも」というコーラスも、今日一でエネルギッシュ。やっぱりこの曲は、椎名慶治のソロを象徴する最強の曲なんだなと思いました。

 チケットを買って来てくれた一般のお客さんへのお礼と、今日から3日間一緒に旅をするRABBIT-MAN'sのみなさんへのよろしくを、椎名は最後にあらためて伝えます。すると、燃え尽きてヘットヘトの3人の前に、容赦無く罰ゲームの「ジェフのゴーヤージュース」が運ばれてきました。ご所望通りに飲めた友森さんは、「美味しい」とご満悦。ムラさんもまんざらじゃない様子。椎名は、「うーん、最初は美味しい。でも後から苦い!」と顔をしかめています。100曲余りからの6曲って、なかなか当たらないものなんですね。 3時間越えの耐久レース的なセットリスト。まさに沖縄旅行でしか味わえないリクエスト・ライブでした。

text by miho fujii

初日写真 初日写真
★5月24日(金) セットリスト
01:悲しきマリオネット
02:ガブッ!
03:ささくれ
04:いっこずつ
05:5月27日
06:BLACK or BLACK
07:天国で会いましょう
08:可能性は無きにしも非ず
09:僕らの中
10:Hello in Xmas
11:フラストレーションNo.5
12:愛のファイア!
13:疑似パラドックス
14:lo0p
15:ただ
16:SLIT
17:人生スパイス -go for broke-
18:KI?DO?AI?RAKU?
19:予告状
20:怪盗Y
21:醜態成
22:RABBIT-MAN